円安の今だからこそ、中小企業が仕掛ける「攻めのアプローチ」
ここ数年、目まぐるしく為替相場が変動しています。ウクライナ情勢や中東の緊迫化によるエネルギー高騰、そして日米の金利差。ニュースを開けばマクロ経済の解説があふれていますが、現場の経営者は悲鳴を上げています。
「原材料費も電気代も上がっているのに、値上げを切り出せない」
「為替の先行きが見えず、今期の予算や資金繰りの目途が立たない」
今、多くの現場から聞こえてくるのは、こうした「自社の努力だけではどうにもならない外部環境」への危機感と、孤独な焦燥感です。経営の意思決定を背負っているトップとして、日々胃の痛む思いをされている方も多いのではないでしょうか。
円安のピンチを「構造改革の転換点」に変える
では、この円安は本当に「耐え忍ぶだけのピンチ」にしておいて良いのでしょうか。
確かにコスト面での打撃は深刻ですが、視点を少し変えると、これまで海外の安さに押されていた「国内のものづくりやサービス」の競争力が相対的に復活している、という一面も見えてきます。
大手メーカーが地政学リスクが増大する海外調達のリスクを嫌い、国内への「調達回帰」を模索し始めている今こそ、中小企業にとっては「次の一手」を打つ好機になり得ます。
中小企業が取るべき3つの「国内回帰戦略」
(1)国内での安定供給を強力な武器にする
これまで大企業は、コスト優先で世界中にサプライチェーンを張り巡らせてきました。しかし事業継続性との観点では、近くて安定的に供給できることが強みになり得ます。有事にも揺るがない確かな供給網は、元請け企業にとって単なる安心感を超えた「大きな付加価値」となります。
(2)「圧倒的な柔軟性」を強みに変え、価格競争から脱け出す
国内企業だからこそ、「小ロット」「超短納期」「柔軟な設計変更」に「高品質」で対応できる強みがあります。コスト以外にもこれらの強みを再認識してもらうことで、代替調達先としてのポジションを確立します。大企業には真似できない小回りの良さを言語化し、「単なる下請け」から「戦略的パートナー」へと自社の見せ方を変えるのです。
(3)生産性向上で省人化し、受注拡大の基盤を作る
国内回帰の波に乗り、いざチャンスが巡ってきても「人がいなくて受注を受けられない」のでは本末転倒です。「人が採れない」「人件費が高い」のであれば、国の省力化・IT補助金を活用し、少ない人数でも高利益が出る生産体制へ変えることも重要です。単なる人手不足対策としてではなく、筋肉質で高収益なビジネスモデルへと根本からアップデートする絶好のタイミングです。
変化の波を乗りこなすために
円安環境は仕方がないとあきらめるのではなく、時流に合わせた新たな手を打って、自社の強みを活かしたビジネスモデルを組み立ててみませんか。
しかし、長年培ってきた自社の本当の強みや価値というものは、内部にいるとなかなか気づくことが難しいかもしれません。「自社には強みがない」と謙遜している企業ほど、外部からみれば宝の山ということもあります。
現状の延長線上にない「新たな戦略の構築」や「自社の強みの棚卸し」には、時に客観的な視点が大きな突破口を生むことがあります。
激動の環境下で次の一手へ踏み出そうとする時、自社の現状をフラットに整理し、共に考え抜く「壁打ち相手」を持つことが、確かな攻めの決断へと繋がっていくはずです。言語化されていない「国内回帰の波に乗る武器」を一生に探し、円安というピンチをチャンスに変えてみませんか。
■参考:
片山さつき財務相「断固たる措置」に言及、39年半ぶり円安進行けん制(日本経済新聞)
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUA301C50Q6A630C2000000/